映画2本目は『道草』です。
この映画は「重度」といわれる自閉症と知的障害のある人が介護者付きで一人暮らしをする日常を追ったドキュメンタリー映画です。字幕と音声ガイドがつき、音声はFMラジオによるクローズ方式。貸し出し用の機器をつかってイヤホンで聴きました。
自閉症と重度の知的障害がある人は親元か入所施設が多いのですが、2014年に重度訪問介護制度の対象が拡大され、ヘルパー(介護者)付きで一人暮らしが可能になりました。主人公たちは地域のなかで移動支援、生活介護、居宅介護などの福祉サービスを利用しながら自立生活をしています。ヘルパーさんとの掛け合いがまるでコントを見ているようでおかしくもあり、時には感情がコントロールできず衝突する場面もありますが、そこには入所施設とは全く違う“自由”がありました。
入所施設では、何を食べるか、いつ寝るか、休日にどこに行くか、何を買うか、そんな当たり前の生活を自分の意志で選ぶことが難しい日常があります。手がかかると言われる重度知的障がい者を“何もできない人”にしてしまっているのはいったい誰だろう、管理の対象にしてしまっている社会の在り方が人々の偏見を生んでしまっているのではないだろうかと親としてさまざまな思いがあふれてきました。