法政大学“ダウン症企画”×アクセプションズ
昨年度から始まった法政大学ボランティアセンター所属の団体VSP(ボランティア支援プロジェクト)の「ダウン症企画」第5回目が8月24日にオンラインで開催されました。
この連続企画のきっかけは2年前にVSP所属の一人の学生さんから寄せらせたメールでした。「ダウン症について詳しい知識はないけれど今後深めていきたい」という熱い思いにアクセプションズのメンバーが答える形でスタートしました。
発起人の学生から後輩(達)にバトンをつなぎながらコロナ禍でも継続的に企画を実行していて、毎回学生さんたちの熱意と新鮮なアイデアに私たちが多くのことを学べる機会となっています。
2021年度
1回目はオンラインで基礎知識のための講義とワークショップ
2回目はオンラインでダウン症のある子どもたちとの交流会
3回目は対面で「ミッションキャンパスツアー」を行い、ダウン症のある子どもたちとミッションをクリアしながら法政大学を回りました。
2022年度
4回目は6月に、アクセプションズのメンバー3人が「ダウン症のある子どもを持つ親としての生き方」について講義をしました。連続して参加している学生も今年度初めて参加する学生も、この講義を通してダウン症についてよく理解し、共生社会を実現するためにはどうするべきかを考える機会となりました。
そして第5回目
ダウン症のある人が困っている時にどう対応するかをグループワークという形で話し合い、日常で活かすためには自分たちの行動をどう変えていけばよいかをテーマに考えました。参加者は法政大学やその他の大学から16名。
「ダウン症のある人の困りごと」といっても、当たり前ですが一人ひとり困りごとは違います。そこであらかじめ、アクセプションズのメンバーの子ども5人のプロフィールと日常の困りごとをシートに記入し、5つのグループに分かれて話し合いました。
「ダウン症のある人の困りごと」から「〇〇さんの困りごと」と顔の見える対象となった結果、より具体的により自分ごととして話し合いに参加することができたと思います。(古市)
事前・事後アンケート
参加学年
参加理由
今回のイベントで知りたいこと・興味のあること
- まだまだ世間では、ダウン症を抱えた人々とはどのような症状を抱えておられる方々なのか、等の認識は十分には広がっていないと思います。今回のイベントでは、ダウン症の方々に関する世間の認識を深めるには、どのように私たちは行動していくべきなのか、という点について、話し合いたいと考えております。
ダウン症の方と関わる時、どんなふうにしたら楽しく感じてもらえるのか知りたいです。 - 自分に何かできることがあるか知りたいです。
- ダウン症で困ったことはあるか、その場合周りの人はどうしたらいいか。
- 障害者さんが、注意やお願いを聞いてくれない時の対応方法を知りたいです。(静かにして貰えない・走り回ってしまう等) サークル活動で(ボランティアサークル)障害を持った子供〜大人をサポートすることがあるため、簡単に実践できる対応方法・姿勢があればぜひ知りたいです。
- ダウン症の子どもの教育
- 実際にどのようにコミュニケーションをとったら良いのかを知りたい
満足度
感想
- 自分の行動や考えを改めて振り返る良い機会になりました! お忙しい中、今回のイベントを企画していただきありがとうございました✨
- グループワークとして考えることで、自分事としてとらえられた。 これまで接したことがない状態で、どのようにダウン症の方とコミュニケーションするかを考える機会を得ることができ、様々な意見やアクセプションの皆様の御意見を聴くことができて良かった。
- 初めて参加しましたが、話し合いの際も主催者側の学生の方が上手く場を盛り上げ話し合いを進めて下さ発言しやすかったです。また自身のダウン症に対する考えや意見も深まりました。大変良い機会でした。
- とても有意義な時間でした。当事者の方のお話を聞くことで先入観に気付くことができました。
- いつもは話し合いを行うことが無いテーマで議論できたため、新しい視点に気づけた。もう少しアクセプションズの方々のお話も聞きたかった。
- 今回初めてこちらの企画に参加して、まずはじめの一歩になったと思って、大変貴重なお話を伺う機会になりました。
- ダウン症の人と関わりがないと、どの程度のことに困難を感じているのかが分からないので、なかなか意見を出すことが難しかったです。しかし、アクセプションズの方々から選択肢を作ると答えやすいことや、対等な関係でいることなど、向き合い方についてのアドバイスを頂けたので、実践してみたいという気持ちになりました。また、多くの人と意見を交わしたことで、自分にはなかった考えを知ることができ、今後に活かせそうだと思いました。
- 自分で考えるだけでは気づかなかったことを体験談で聞いたり話し合うことができて貴重な時間だなと思いました。
- 個人でダウン症について学ぼうとしても、知識を得ることは出来ても、実際にダウン症の方やその親御さんと話す機会はないため、そのような方々と交流する機会が得られて良かった。さらに、学ぶだけでなく、みんなで考えることができたのも良かった。
- グループワークを通して、様々な意見を知ることができた。ダウン症に限らず、人間は一人ひとりの個性が違う。そのため、その方に合わせた最適なコミュニケーション方法を当事者の方と一緒に考えるべきだと思った。
- ダウン症について決して、自分達には関係の無い事と言う考えを払拭出来、良かった。自分達が他者との関わりにおいて、何が出来るかを考える機会に参加出来て良かった。
今回の講義で学んだこと、講義から考えたこと
- ダウン症と一括りにせずに、それぞれ本人の得意・不得意に目を向けることの大切さ。 ダウン症と大学生の関わりは少なく、積極的に関わっていくことの必要性。 楽しかった! また会いたい!といったポジティブな気持ちの共有を含んだコミュニケーションの大切さ
- ことばの表現が苦手な場合であれば、他の表現方法を使うなど多様な方法をとれば良いことがわかった。答えに困っているのならば、選択してもらうことなどで答えが見つかる。
- 障害を持っているからといって特別な対応はせず、平等に自分の先輩・後輩・友達と話すような姿勢で対応をしても良いと考えました。 私には大学のサークル活動(社会福祉サークル)で、障害を持った方とイベントに参加したり・イベントのサポートをしたりといった場面が身近にあるため、そのような場に行った際は、もっと自分から歩み寄り障害を持った方と交流を深め仲良くなりたいと強く思いました。大学を卒業してからもそのような場があると良いなと思います。
- ダウン症といってひとくくりにするのではなく、一人一人の特性に合った対応が重要なのだと知りました。
- 実際にダウン症の方と接する時に、接する自分自身の機嫌が良い時、悪い時がもちろんあると思います。それでもコミュニケーションを成立させるためには譲歩することがあったり、自分を律する必要がある機会もあるのだと思います。そのため、ダウン症に関する知識を身に着けるだけでなく、自分自身の成長も含めた社会勉強をしていくことも大前提として必要であると感じました。そのうえで、ダウン症の方になにかを譲歩し助ける側、ケアする側としての自分で関わるのではなく、自然と個性として受け入れ、多くいる他者の一人としてかかわることができるようになりたいと考えます。自分自身のコミュニケーションを見つめなおす機会となりました。
- まず「知る」ということから始めたいと思いました。声をかけるというのは大変勇気のいることですが、情報に触れる努力をしたうえで、周りを見渡してみることから始めたいと思います。
- ダウン症だから特別に出来ないことがあるという意識は持ち過ぎずに、海外旅行に来たときをイメージするとよいというアドバイスで、困ることがあるのはみんな一緒なんだということを再認識することが出来ました。やはり今までは、ダウン症の人を助けて「あげる」という意識が働きがちだったので、ダウン症の人の自立を促すことが出来るような助け方をしていきたいと思いました。
- 困っていることや対応の仕方などをきくと、自分達とあまり変わらないと思いました。ダウン症の方だけでなく、日常的に他の人たちにも今回話し合った対応を心がけることはできるのではないかなと思いました。
- ダウン症の方も一人一人個性があるため、「ダウン症」と一括りにしたり子ども扱いしたりしないで、対等な関係で接することが大切だと学んだ。じっくりと向き合い、口で話すのが難しかったら他のツールを使うなど、コミュニケーションをとる中で個人個人に合ったやり方を見つけるのが良いと思った。また、ダウン症の方と接する機会が少ないため、交流する場を自分たちで作ることで、ダウン症でない人だけでなく、ダウン症の方にとってもよい経験になると知った。
- 今まで、ほとんどダウン症の方と接することがなかったので、交流する機会を増やしたいと思った。知り合いの大学生に、来月のダウン症の方との交流イベントに、参加しないか誘ってみようと思った。
- ダウン症の人であるにしても、決してダウン症だからと言う認識になるのでは無く、自分達と同様な者としての認識で関わっていくべきと言う事を学んだ。決して今の世の中の全てが全ての者にとって便利と言う事では無い事を学んだ。現状に対し常に疑問を持ち、またダウン症など普段自分達にとって聞き慣れない事に関心を持ち続けて行動していこうと思った。
さらに学びたいこと・やりたいこと
- ダウン症、当事者との関わり
- ダウン症にかぎらず、様々な方と接する機会をもてるように、壁をなくしていきたい。 この企画はとても素晴らしいので、是非大学の「自由を生き抜く実践知」で紹介されたらと思います。
- やっぱり直接お会いしたいです!多摩キャンパスでも交流したいです。
- ダウン症のお子さんのいる家族の方々のとりとめもない日々のエピソードも聴いてみたいです。知識の一環としてだけではなく、ただただお話しを聴ける機会もあると嬉しいです。
- 何か役に立ちたいという気持ちがあっても、具体的に何をしたらいいかわからないので、今は何を学びたいとか具体的に欠ける段階にありませんが、学び続けたいと思います。
- 今回話に出ていたヘルプマークについて知識を持っておきたいです。 気になって調べてみたことがあるのですが、あまり詳しく知ることができませんでした。 今回のようにどのように対応したらいいのかなどみんなで話し合える機会があるといいなと思いました。
- このダウン症の企画のように、他の障がいやマイノリティーの人たちについても学ぶ機会があるといいと思う。
- ダウン症の子どもが、学校で困っていること
- 実際にダウン症の人と触れ合い、自分自身はダウン症の人に対しても対等に関わっていけるかを試してみたい。やはり頭では理解していても、行動として出来るかについては、実際にやってみなければ分からないから。
アクセプションズメンバー鈴木さんの感想
昨今、ADHDや自閉症スペクトラルの困りごとはだんだん共有されて、どう対応していいかわかってきたが、触れ合うことが少ないダウン症のある人たちと積極的に関わってもっと知りたい!(ある学生さんの発言)
大学生主動で、ダウン症について考え、困ったときどうしたらいいかを話し合う本企画は、親の想像を超えて、ダウン症のある人たちも救われ、さらには誰もが生きやすい世の中に少しずつ変わっていくんだろうなぁと明るい未来の見える、涙が出そうになるくらい嬉しい時間でした!
アクセプションズメンバー北田さんの感想
すっかり恒例になった法政大学ボランティアセンター所属のVSPとのワークショップシリーズ今年度2回目を開催していただきました
事前にアクセプションズメンバーの子どもたちの自己紹介のワークシートを作成しましたが、なるべく子どもたちの日常の姿が浮かび上がるように表現しました
ワークショップに参加した学生による話し合いは2回のブレイクアウトルームで行われましたが、多くの参加者は実際にダウン症のある人と交流したことはなく、ワークシートだけを頼りに議論します
果たしてどの程度ダウン症のある人の生活ぶりが伝わっているのか、少し心もとないと思っていましたが、話し合いはびっくりするほど充実しました
何より参加者たちの「スペシャルニーズのある人たちと共に何ができるか」という視点が素晴らしく、学生とは思えない細やかな配慮に満ちた話し合いで感動しました
ダウン症のある人にまずは信頼してもらうためにはどうすべきか、
一人の人としての尊厳を認めて接するためにどう行動すればよいか、など、私もダウン症のある人との接し方を真剣にひも解いて行かなくては、と自覚を新たにしました
多くの参加者からは、やはり実際にダウン症のある人と交流をして、もっとダウン症のことを知りたいという発言があり、すごく嬉しく、頼もしく感じました
これから社会を支えていく学生のみなさんのこうした意識は、きっと日本がダイバーシティーを尊重する良い国にしていってくれると確信した一日でした
法政大学の関係者のみなさまに改めて感謝いたします